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千種区

大切な人への想いを形にするクリエイター、ShieRiさんを訪ねてみた。

大切な人への想いを形にするクリエイター、ShieRiさんを訪ねてみた。
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
今日、イベントで僕とメイにぴったりなものを見つけたんだよね〜
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
そうなんだ〜私たちにピッタリって・・・どんなの?
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
無垢板に文字入れをしてくれる方でね!その無垢版を使って結婚証明書を作ってくれるんだよ!これからの僕たちにピッタリでしょ?
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
ありがとう・・・本当に素敵だけど・・・気持ちだけで十分よ!!!
名古屋市千種区を拠点に活動する「ShieRi(シエリ)」をご存知だろうか。
文字デザインや木工アイテムなど、幅広いクリエイティブ活動を展開するクリエイター・小林 優美(こばやし ゆみ)さんのブランドだ。「大切な人に届けたい」という想いを込めて生み出される作品は、多くの人の心を捉えている。今回は小林さんに、モノづくりへの想いや制作のこだわり、今後の展望などを伺った。
今回のツムギポイント
  • 「大切な人」へ想いを届ける屋号
  • 独学で磨いた温かみのあるデザイン
  • 苦難を乗り越えて信頼を築く
  • 「ハッピー」を生み出す自由な発想

①「大切な人」へ想いを届ける屋号

 

「ShieRi(シエリ)」という屋号には、二つの大切な意味が込められていると話してくれた。ひとつは、フランス語で「大切な人」を意味する「Chéri(シェリ)」から。

 

小林さんが作るものは、ただ自分のためではなく、誰かに贈りたくなるような、そんな想いを込めて作られている。

 

「自分のために作るのではなく、相手のことを思って作りたいんです。大切な記念日やプレゼント、そこには必ず受け取る人がいます。その人にぴったりのものを作ることが、私の目標なんです。」

 

もうひとつの意味は、実家で小林さんが大切にしているチワワの名前からだ。最初は愛犬の名前として使っていたものの、後にフランス語で「大切な人」という意味だと知り、改めてその名前が自分のモノづくりにぴったりだと感じたと話してくれた。

 

「愛犬の名前がきっかけですが、その後、この言葉が私の作りたいものとぴったり重なることに気づきました。『届けたい』という想いの先には必ず相手がいて、そのためにものを作りたいという気持ちがこもっているんです。」

 

小林さんのモノづくりへの想いは、依頼者が届けたい相手への気持ちを何より大切にしている点に表れており、それが屋号にもしっかりと込められていると感じた。

 

小林さんがモノづくりの道を歩むきっかけは、幼少期の環境にあるという。

 

「父が自動車整備の会社を経営していて、趣味でレザークラフトもやっていたんです。家にはいろいろな道具が揃っていて、何か作りたいと思ったら、すぐに材料や道具が手に入る環境だったんです。」

 

中学校の夏休みの課題では、父に教わりながらレザーでバッグを制作。そのクオリティの高さから、賞を受賞したこともあったという。

 

「夏休みの工作とは一線を画すようなものを作っていたと思います。そのクオリティの高さに、周囲から『本当に自分で作ったの?』と驚かれたこともありました。」

 

学生時代の友人たちは、小林さんが将来クリエイティブな道に進むことを予想していたという。図工や美術、家庭科の成績は常に優秀で、モノづくりへの才能は早くから芽生えていた。

 

しかし、本格的に活動を始めたのは、社会人になってからだ。一般企業で働いていた小林さんに転機が訪れたのは、出産後の育休期間だった。

 

「それまでは、モノを作るのは好きだったけど、本格的に販売しようという気持ちにはなれませんでした。でも育休で時間ができて、『何かやりたい』という気持ちが溢れてきたんです。」

 

最初に制作したのは、フラワーアレンジメントの素材を使ったガーランド。苔の素材を布地に貼り付けた独特のデザインは、すぐに注目を集めた。そしてネット販売を開始したのが、ShieRiの始まりだ。

 

②独学で磨いた温かみのあるデザイン

 

ShieRiの作品で特に評価が高いのが、文字デザインだ。手書き風の温かみのある文字は、多くの依頼主から支持を集めている。しかし小林さんは、書道を習った経験はない。

 

「文字を書くのが好きというよりも、人の文字を見るのがめちゃくちゃ好きなんです。学生時代も、友達の文字や、社会人になってからは同僚が書く書類の文字を見て、その人を覚えたりしていました。」

 

気に入った文字を見つけると、その書き癖を真似して書いてみる。幼少期からそんなことを繰り返していた小林さん。身近なところでは、母親の可愛らしい文字を真似していたという。

 

「真似をすることで、文字のボキャブラリーが増えていったんだと思います。いろんな人の文字を見て、吸収してきた結果が、今の自分の文字になっているんです。」

 

現在は、ペンタブレットを使ったデジタルデザインから、インクとペンを使った手書きまで、依頼内容に応じて使い分けている。最近では、アパレルブランドのロゴや、鎌倉のパン屋の看板、シンガーソングライターのCDジャケットなど、幅広い分野で文字デザインを手がけている。

 

小林さんのデザインの特徴は、依頼主の「空気感」を大切にすることだ。

 

「依頼者の方と話して、空気感を感じたいんです。言葉だけでイメージをもらっても、ある程度のところにしか寄せられません。その人が纏っている雰囲気や求めている感じを知った上で、イメージを膨らませてデザインしています。」

 

デザインの仕事をする時は、自分の個性をある程度消すようにしているという。要望にどれだけ近づけられるかを重視し、依頼主の人柄や想いを感じ取りながら制作を進めている。

 

「私の作品というよりも、私に依頼してくれたというところで、自分の個性はかなり減らして作っています。」

 

一方、無垢板を使った記念日のアイテムなど、ShieRiオリジナルの商品は小林さんの個性がきらりと光る。バランスを取りながら、両方の制作を楽しんでいるのだ。

 

③苦難を乗り越えて信頼を築く

 

依頼主の多くは個人事業主。飲食店経営者やクリエイターなど、それぞれが個性を持つ人たちでInstagram経由の依頼もあるが、ほとんどが紹介やつながりから生まれているそうだ。

 

これまで数多くの依頼を受けてきた小林さん。その中でも、強く印象に残っているお客様がいるという。それはロゴデザインの依頼で、求められたのは普段の小林さんの作風とはかけ離れたイメージのものだった。

 

「お客様と感性が合わず、お客様の納得するものが作れませんでした。何度、提案しても納得していただけず、『もしかしたら別の方にお願いした方がいいかもしれません』とお伝えもさせていただきました。」

 

しかし依頼主は、「ここまでやったから最後までお願いしたい。追加料金ならいくらでも払う」と小林さんを指名してくれた。その言葉に小林さんは覚悟を決め、最後までやり遂げる決意をしたと言う。

 

「その時期は本当に大変でした。完成したロゴを喜んでいただき、今でもそのロゴを愛用してくださっています。この経験で多くを学びましたし、お客様の喜びがその後の励みとなりました。」

 

そして忘れられない出来事が起きた。ある時、その依頼主がイベントに来ることになり、小林さんは会いに行ったのだ。

 

「ロゴ作成時はZoomで何度も話していたんですけど、実際に会ったらうれしくて泣いてしまったんです。頑張ってよかったって心から思いました。誠心誠意対応したからこそ、距離が縮まったんだと感じました。」

 

その依頼主の方は、今でもリピートを続けてくれているという。苦しかったことから逃げずに乗り越えたことが、リピーターの獲得につながっているのだろうと感じた。

 

④「ハッピー」を生み出す自由な発想

 

一つのことにとらわれず、自由に表現することを大切にしている小林さん。文字デザイン、木工アイテム、レザークラフトと、使う素材も、作るものも、幅広く展開している。

 

「昔は何か一つを極めなければ、と思っていた時期がありました。でも最近は、ひとつのものに縛られたくないなと想い、いろいろ挑戦しています。」

 

今後の夢は、イベントの企画運営だ。

 

「今まで出店する側だったんですけど、企画側もやってみたいんです。私自身が自由にやることで、周りの人にも「自分も自由にやろう」という刺激を与えられる存在になりたい。その想いに共鳴してくれた人たちと、お祭りみたいなイベントをするのが夢ですね。」

 

マルシェなどのイベントに出店する際は、お客様との出会いだけでなく、出店者同士のつながりも大切にしている。横のつながりから、新しい仕事が生まれることも多い。

 

「出店者さんとのつながりを大切にしているんです。これからイベントを企画する時に、あの人に声をかけたいなと思えるような素敵な人たちとたくさん出会いたいと思っています。」

 

2026年はすでに地元のお寺へのミニマルシェへの出店も予定している小林さん。最後に、ものづくりの秘訣をうかがった。

 

「辛かったことを引きずらないことです。基本的には良いことしか記憶に残っていかないんです。その瞬間は悩んでいても、解決すれば忘れます。作る側がハッピーじゃないと、ハッピーなものは作れないと思っています。」

 

大切な人に想いを届ける。その一貫した姿勢と、自由な生き方で誰かを刺激したいという願い。ShieRiの作品には、小林さんの温かい人柄が表れている。誰かに贈りたい特別なアイテムを探している方は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがだろうか。

 

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