地元岡崎にこだわり”焼き立て”を提供する「焼き菓子処principiante」を訪ねてみた。





オシャレな外観から中に入ると、カウンター席もある素敵な空間へと広がっている。今回は代表の青木 大介(あおき だいすけ)さんに、起業のきっかけや大切にしている想いなどについてお話を伺ってみた。
- 意外な店名の由来
- 多種多様な飲食経験を経て独立
- 焼き立てと地元岡崎にこだわる
- 届けたいターゲット
- 地域を大切に強める発信力
①意外な店名の由来
早速、店名である「焼き菓子処principiante(プリンチピアンテ)」の由来に関して、青木さんに伺った。
「開店当時は「プリンチ」という名前でスタートしました。「プリンチ」にした理由は、僕の小学校時代のアダ名がきっかけなんです(笑)。アダ名が”プリン”だったので「プリン家(ち)行こう!」みたいな感じが良くてこの店名にしたんです。ただ、僕の調査不足もあって他の場所で同名のお店がすでにあったんです。」
店名の由来が子供の頃のアダ名から来ていたとは驚きだ。
「その後、店名を変えるにあたり、僕が元々イタリア料理を経験していたのでイタリアンっぽい響きは残したくて。「principiante(プリンチピアンテ)」という名前にしました。プリンチピアンテはイタリア語で”弟子”や”初心者”といった意味合いです。僕自身が元々焼き菓子を専門でやっていたわけではないので焼き菓子に関しては初心者も同然なので自分にピッタリだなと思いこの名前にしました。あとは、初心を忘れないという気持ちも込めています。」
「焼き菓子処」とどこか日本らしさも残しつつ、ご自身の経験と「いつまでも初心を忘れず、成長し続ける」という青木さんの想いが詰まった素敵なエピソードだと感じた。

②多種多様な飲食経験を経て独立
青木さんは学生時代、白球を追いかけるスポーツマンだったそうだ。
「当時は本当にスポーツ一筋でした。ですが、昔から料理にも興味があってとても好きだったんです。なので、当時は高校卒業時はスポーツを続けるために大学へ行くか料理の専門学校に進むか凄く悩みました。悩み抜いた結果、最終的に自分の中で”料理の道に進みたい”という想いが強かったので料理の専門学校を選択しました。」
「昔からお菓子作りや料理には興味があったので、高校生の時に自分で作ったお菓子を高校へ持って行った事があるんです。そしたらクラスメイトが凄く喜んでくれたんです。なので、時々作っていたんですが、いつしか予約制みたいになっていて(笑)。思い返すと、その経験が自分の中で成功体験として心のどこかにずっとあるんだと思います。」
学生時代に、たまたま友人に振る舞ったお菓子が青木さんの人生を決めたのだ。
その後、料理の世界に飛び込んだ青木さんはイタリア留学時にミシュラン一つ星店で勤務、帰国後も大阪や三重で多種多様な経験を積む。
料理長も経験されたとの事だが、そのままキャリアを積む事は考えはなかったのだろうか?
「正直、そのまま勤めていれば良い役職やお給与もいただけたとは思います。ただ、昔から自分でやりたいという想いは強かったんです。それに、地元に帰ってやってみたいという考えも強くありました。」
人気や話題のある飲食店は、都心部に出店する傾向にある。しかし、青木さんは地元に出店し、地元に「おいしい食文化がある」ということを広めることに意味があると考えたのだ。
③焼き立てと地元岡崎にこだわる
「僕が一番大事にしているのは名古屋・東京・大阪などの都心部に行かなくても、岡崎でこだわりの詰まった美味しいお菓子が食べられるという事です。最近では岡崎にも少しずつ専門店も出てきたんです。例えばカヌレにしても、専門店がなかったのでコンビニに売っているカヌレしか知らない方も多いんです。コンビニに売っている物が悪いというわけではなく、出来る限り専門店で提供している物に近い形で提供したいと考えています。だからこそ、この岡崎の地で焼き立てを提供する事にこだわっています。」
やはり焼き立ては違うのだろうか?
「違いますね。僕も前職時代に出来立てのフィナンシェを食べて”焼き立てって本当に美味しいな”と凄く感じたんです。だから、皆さんにもその感覚を感じてもらいたいですね。」
焼き立てにこだわる強い想いを感じるお話だった。
また、principianteでは数多くの焼き菓子を選ぶ事ができる。消費者側は選ぶ幅が広がるので嬉しいことは間違いないが、製作者側は大変だ。そこにもこだわりはあるのだろうか。
「いろんなお菓子を用意するのは簡単ではないですが、棚にズラーっと並べられたお菓子を見て「今日はどれにしようかな」とお客様には迷う楽しさを提供したかったんです。月に1回来店していただくのも嬉しいのですが、僕の理想は一週間に1・2回来ていただけたら嬉しいですね。たくさん購入しなくてもコーヒーとフィナンシェやカヌレ一個でも十分なんです。ただ、美味しいものが食べたいなと感じた時に焼きたてのお菓子を味わっていただきたいなと考えています。」
来ていただく方に食を通してワクワクを提供したいと言う青木さん。定番の焼き菓子以外にも流行りのものも定期的に取り入れているのだとか。しかも、それに対しても勉強をしっかり重ねているという。
まさに「見て楽しい・食べて美味しい」を実現しているのだ。


④新しいスタイルの確立
principianteでは焼き菓子店にしては非常に珍しい”お酒が飲める夜営業”もしている。
「僕は『焼き菓子も毎日食べにいきたい!夜も毎日飲みに行きたい!』と思っていただける場所を目指しているんです。それこそ「今日プリン家(ち)行こう!」みたいな感じで来ていただきたいと考えてます。」
「老若男女にご来店いただきたいので、焼き菓子専門店だとどうしても男性がお一人で来店されるのに気が引けてしまうと思ったので、気軽に女性も男性も気兼ねなく来ていただけるようにしたと考えました。」
昼は焼きたての美味しいお菓子を求めてきてくれるお店であり、夜は仕事終わりに一杯飲みにも来れるお店でもあるのだ。
⑤地域を大切に強める発信力
「うちには、小学生の子がお金を握りしめてカヌレを一つ買いに来てくれることもあるんです。その姿は本当に凄く感動です。」
小学生が一人でも買い物に来れるという事は、それだけ安心安全な場所という証だ。お子様が一人でも買いに来れるような、地域の駄菓子屋さんのような存在になることが理想だと語る青木さん。
そんな青木さんに今後の展望に関して伺ってみた。
「これからもたくさんの方にお店にも来ていただきたいです。それに、”岡崎は美味しいお店が多いよね!”と思っていただいて、飲食で岡崎市を盛り上げて岡崎に貢献ができるようにしていきたいです。」
「実は、有名なYouTuberグループが岡崎を拠点にされているんです。その方達がキッカケで県外から岡崎に来てくれるファンの方もいらっしゃるんです。その時に岡崎にはいろんな美味しいものがあるんだと知ってもらえるようにしていきたいと思ってます。」
取材の始まりから一貫して、青木さんは地元を大切にし、この岡崎市から発信していきたいというお考えはブレなかった。
最後に青木さんに、座右の銘をお伺いしてみた。
「用和為貴(ようわいき)ですね。簡単にいうと”人を大切にする事が大事”という意味です。お店の立ち上げもそうですし、来ていただくお客様もそうですが、結局は人が人を運んできてくれているので、人との繋がりはとても大切にしています。」
「僕は自分のInstagramで毎週のように他のお店を紹介させてもらってます。例えばprincipianteと同じ業態のお店であっても「ここめちゃくちゃ美味しかった!」って発信してるんです。商売なので、売上はもちろんん大切ですが、自分だけが儲けたいのではなく、岡崎市全体が盛り上がって岡崎の価値をもっと高めたいんです。」
人の繋がりと地元を大切にする青木さん。自分だけではなく、地元岡崎市全体で向上していきたいう熱い想いを伺うことができた。
今日も来てくれる人にワクワクを提供しているprincipiante。岡崎市に来た際には是非一度足を運んでみてはいかがだろうか。
※現在は夜の営業はお休みしております。再開に関してはインスタグラムをチェックしてみてください。


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