フランス仕込み、絶品ケーキのお店「パティスリードゥーズアブリル」を訪ねてみた。





フランスや東京の最先端のケーキを地元で堪能できると注目のお店だ。本日はオーナーシェフである梅野 雄太(うめの ゆうた)さんに、ケーキへのこだわりやコンセプト、今後の展望などをうかがった。
- 誕生日のお供にスペシャルなケーキを
- 本場フランスでお菓子づくりを学ぶ
- 最先端のケーキを一宮から発信
- すべての人に「ありがとう」を込めて
①誕生日のお供にスペシャルなケーキを
2024年9月、一宮市の通りに鮮やかなオレンジ色の外観をしたケーキ屋がオープンした。「Douze Avril(ドゥーズアブリル)」の意味はフランス語で「4月12日」。
オーナーシェフである、梅野さんの誕生日が店名に刻まれている。そこには「自分にも誕生日があるように、お客様にも誕生日がある。お客様の大切な日をケーキで彩りたい」という願いが込められているのだ。
「誰にとっても、誕生日は大きなイベントです。お客様の特別な日のお菓子に選んでいただければと考え、この名前にしました。」
実際にお店の名前から誕生日の話になり、お客様と会話が弾むこともあるという。何気ない会話からも、地域に寄り添う温かさを感じられるお店だ。
「この場所は、もともと別の方がケーキ屋を営んでいたんです。その時は店舗が赤色だったので、イメージを一新するために、僕が子どもの頃から好きだったオレンジ色に変更しました。」
洗練されながらも、梅野さんの遊び心とセンスが感じられるお店となっており、訪れた人に優雅なひとときを提供している。

②本場フランスでお菓子づくりを学ぶ
梅野さんのケーキづくりの原点は、幼少期までさかのぼる。
「本当に小さい頃からお菓子をつくっていました。母もよくお菓子をつくってくれていました。その姿を見ていたからなのか、僕も自宅のオーブンを使い、小学生のころからお菓子をつくっては、友人たちに振る舞っていました。」
そう、幼少期を振り返る。また、本を読むことも好きだったという梅野さん。お菓子の本を読み、その世界に没頭していった。
高校時代はバトミントンの選手として活躍した梅野さん。悩んだが、最終的にはお菓子づくりの道を選んだ。
「スポーツが好きだったので、体育の先生になることも考えましたが、ケーキを作りたい気持ちが勝ちましたね。」
と、その決断を振り返る。そして梅野さんは、18歳で人生の目標を決める。
「30歳までに独立する」という明確な目標を掲げ、その実現に向けて着実に歩みを進めた。
進路に選んだのは、日本の製菓学校の最高峰、辻調理師専門学校だ。梅野さんはここで、お菓子づくりの基礎から応用まで徹底的に習得した。その後、さらなる高みを目指してフランスへ留学。お菓子づくりの本場で技術と文化を肌で感じる、貴重な経験を得た。
20歳でフランスから帰国した後、東京のパティスリーやレストランなどを経験した。その後ヒルトンホテルでさらに腕を磨き、独立への道を確実なものにしていった。その後、一宮でパティスリードゥーズアブリルをオープン。前のオーナーから居抜きでお店を譲り受けた。立地の良さも決め手となったという。
③最先端のケーキを一宮から発信
パティスリードゥーズアブリルの最大の強み、それは都心部でないとなかなか味わえないような、最先端のフランス菓子を一宮でいただけることだ。
「地方は5年から10年ほど流行が遅れてくると言われます。この辺りに、最先端のフランス菓子が食べられるお店はなかなかありません。大都市まで行かなくても、地元の人が10分から15分くらい自動車を走らせれば、最先端のケーキが食べられる場所を作りたかったんです。」
スペシャリテ(フランス語で、おすすめ・自慢の料理)は「ピスタチオオペラ」。ピスタチオの濃厚な風味と、何層にも重なる生地のハーモニーが絶妙な逸品だ。ヒルトンホテル時代に商品開発も担当していた梅野さんが、当時手がけた商品をさらに進化させたものだ。
オペラはフランスの伝統的なデザートで、オペラ公演のセットのように何層も重ねられているからという説や、オペラ座のそばでつくられたからという説がある。
「全国でもあまり提供されていない、珍しいケーキなんです。正直に言って、利益はほとんどありませんが、ここでしか食べられないものを提供したいと考えています。」
ピスタチオの緑とチェリーの赤のコントラストが美しい、まさにオペラのように芸術的なケーキ。ケーキが好きなら、ぜひ一度食べてみてほしい。
他にもさまざまなケーキが並ぶ、パティスリードゥーズアブリル。定番だけでなく、ハロウィンやクリスマスなど、イベントに合わせたケーキがそろう。春はイチゴ、秋はさつまいもなど、季節に合わせた果物があしらわれている。
「ケーキ屋って、季節を感じてもらいに来る役割もあると思うんですよね。」
そう語る梅野さん。店内の装飾も季節に合わせて変えるなど、細やかな配慮がなされている。
驚くことに、すべてのケーキは梅野さんが一人でつくっている。自ら製造工程を管理し、味を確認し、微調整しているのだ。
「同じショートケーキでも、イチゴが違えば味も変わりますし、スポンジも焼き加減によって味が変わります。僕がつくることで、ほぼ常に同じクオリティのおいしいケーキを食べていただく自信があります。」
繊細な職人技が光る、梅野さんのケーキ。大量生産はできないが、その分、味のばらつきを最小限におさえられる。お客様からの質問に対してその場で的確に答えられることは、お客様との信頼関係を築く上で大きな利点となっている。


④すべての人に「ありがとう」を込めて
開店から1年たたないうちから、地域に根付きつつあるパティスリードゥーズアブリル。特筆すべきは、女性客のみならず男性客からも支持を集めていることだ。
「スイーツ男子という言葉もあるように、今はスイーツを好む男性が増えています。特に夜の時間帯は、僕がホールに出ていることが多いので、男性が入りやすいのかもしれません。若い方から、40代50代の方まで、幅広い世代の男性客がふらっと立ち寄って来店していただけます。」
そう、梅野さんは話す。かわいすぎないシンプルかつモダンな店構えで、誰でも入りやすい雰囲気をつくり出している。
今後については、大規模な多店舗展開を考えていない一方、出身地である岐阜への出店にも意欲を見せている。
「僕の出身地は岐阜県池田町なのですが、周辺にはほとんどケーキ屋さんがありません。お店には、地元の友人知人が1時間くらいかけて来てくれるんです。もし2店舗目を出すなら、岐阜に出店したいです。みんなが気軽にケーキを楽しめる場所を増やしたいですね。」
より一層地域に根差した展開を視野に入れている。アイスクリームなど、新たな商品の構想もあるようで、今後が楽しみだ。
梅野さんの座右の銘は、「ありがとう」だという。
「お客様だけでなく、業者の方やスタッフがいてくれるから円滑に回っています。すべての方への感謝の気持ちを忘れずに、これからもお菓子をつくっていきたいです。」
現在の課題は、認知度を向上させること。以前もケーキ屋だったこともあり「前のケーキはないの?」と聞かれることもあるそうだ。
「前のお店は18年も続いていたんです。ベテランで技術もある方だったので、どう差別化するかが課題の一つだと感じています。」
と語る梅野さん。しかし前のテナントの時に足を運んでいたお客様が再来店してくれるなど、確実に固定のファンを増やしている。Instagramでの情報発信にも積極的で、開始2か月で1000名を超えるフォロワーを獲得している。
最先端のケーキと地域密着のサービスが融合した、パティスリードゥーズアブリル。大切な人の大切な記念日に、甘いものが好きならぜひ一度は訪れてみてほしい。


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