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清須市

名古屋のストリートカルチャーをファッションへ昇華する「Oh! the Guilt」を訪ねてみた。

名古屋のストリートカルチャーをファッションへ昇華する「Oh! the Guilt」を訪ねてみた。
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
ジェシーオリジナルのブランドを作ってみたいんだよね。でも一人でやるのって大変そう。
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
確かに大変そうね。でも自分の思い通りのものが作れるのは魅力的ね!
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
そうなんだよね!でも会社を辞めて一人でやるなんて、僕には勇気がないよ~
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
その流れだと、あなたの場合、まず就職することから始めないとね・・・
この記事は約7分で読めます。
清須市にある「Oh! the Guilt(オーザギルト)」をご存じだろうか。
さまざまなストリートカルチャーを背景に持ち、素材やディテールにこだわった本格的なアイテムを展開するファッションブランドだ。代表取締役の小森 久嗣(こもり ひさし)さんに独立までの道のりや、ものづくりへのこだわりについて伺った。
今回のツムギポイント
  • 大学の先輩との出会いから服の仕事へ
  • 約30年の共同経営とブランドの成長
  • 自由を求め独立を決断
  • コラボで広がるOh!TheGuiltの世界
  • ファンがいる限り続けるという信念

①大学の先輩との出会いから服の仕事へ

 

「Oh! the Guilt(オーザギルト)」は、1996年にストリートセレクトショップ「T.F.L(TIME FOR LIVIN’)」のオリジナルとしてスタートした、長い歴史を持つストリートファッションブランドだ。2021年に独立し、現在は株式会社オーザギルトが運営している。

 

パンク、ロック、ヒップホップ、レゲエ、日本語ロックといった音楽や、映画、スポーツといった様々なカルチャーから影響を受けており、それらを独自のフィルターを通してファッションに落とし込んでいるのが特徴だ。特にデニム製品や、独自のデザインが光るTシャツ、スウェットが人気を集めている。

 

ブランド名は、小森さんの好きな楽曲からインスピレーションをもらったという。

 

「僕はニルヴァーナの『Oh! the Guilt』という曲が好きなんです。バンドもすごく好きだったし、この言葉もすごくいいなと思って名づけました。」

 

Oh! the Guiltは、もともと小森さんが長年勤めたアパレル企業「T.F.L」のオリジナルブランドとして誕生した。小森さんは、T.F.L時代から、Oh! the Guiltのデザイン、企画、生産管理などを一手に担っていたという。そして、2021年に小森さんがT.F.Lから独立する際に、このブランドを共に引き継いだ形だ。

 

小森さんのファッション業界でのキャリアは、大学の先輩である武山雅哉さん(現T.F.L社長)との出会いから始まる。

 

「武山さんがアメリカに2年間留学していて、帰ってきたタイミングで出会ったんです。彼はアメリカでの買い付けルートを知っていて、アメリカで買い付けた服を日本で卸すというアルバイトをしていました。」

 

武山さんが勤めていた会社で卸売りの仕事を手伝うようになった小森さん。しかし、卸よりも直接店舗で販売した方が利益が出ると考えた当時の社長から「お店をやってみないか?」と言われ。小森さんは武山さんと二人で店舗を運営することになったという。

 

転機は1年後に訪れる。アメリカへ買い付けに行く前日、突然社長から呼び出されたのだ。

 

「社長から急に『自分はお店を続けないから、この店を君たちで引き継いでほしい』と言われたんです。武山さんと色々と話し合いを重ねました。経営なんて初めてなので、不安なことも多かったのですが、まずは、やってみようと決断しました。」

 

思いがけない展開に戸惑いながらも二人で店を買い取り、独立の道を選んだ。すると意外にも、スタートは順調そのものだったと話してくれた。

 

②約30年の共同経営とブランドの成長

 

初期のT.F.Lは、アメリカからの買い付け商品を中心に展開。当時のストリートカルチャーの最前線を駆け抜けていた。

 

「その後、ちょうど裏原ブームが来て、ドメスティックブランドが強くなってきたんです。それをきっかけに国内にも力を入れ始めました。」

 

さらに1990年代中盤には、名古屋でもオリジナルブランドを始める人々が現れ始める。それに触発される形で小森さんと武山さんも自社ブランドの立ち上げを決意した。それが「Oh! the Guilt」だ。

 

「最初は、自分たちが欲しいものを作ろうという軽い気持ちで始めたんです。ところが思いのほか好評で、多くの方に手に取っていただけました。そこから本格的に取り組むようになったんです。」

 

当時、ハードコアバンドとヒップホップアーティストがクロスオーバーするなど、名古屋のストリートシーンは最高の盛り上がりを見せていた。小森さん自身も、中学時代から洋服が好きで、特に古着やアメカジ、そして音楽的な香りのするカルチャー色の強いものにひかれていた。小森さんの手がける服は、そんなストリートを愛する人たちに支持されたのだ。

 

成功と共に組織も拡大。東海地区に5店舗、スタッフ35人を抱える会社へと成長する。

 

「最初は二人だけだったので、やりたいことを自由にできました。たとえ失敗しても、自分たちが痛い思いをするだけで誰に迷惑をかけることもなかったんです。ですが、会社が大きくなるにつれて、そうはいかなくなりました。」

 

組織の拡大と共に、小森さんの心境にも変化が生まれていた。

 

③自由を求め独立を決断

 

組織が大きくなる中で、小森さんは結果を出し続けなければならないプレッシャーに直面した。予算管理や会議に追われ、かつてのように自由に創作へ打ち込むことは難しくなっていった。

 

「組織だから仕方のないことですし、会社が成長していくのは本当に喜ばしいことでした。でもその一方で、自由に動けなくなることへのもどかしさもありました。誇らしさと窮屈さ、その両方の気持ちを抱えていたんです。」

 

そう小森さんは当時を振り返る。2021年、武山さんから小森さんに「独立するというのはどう?」と提案を受けた。小森さんは悩んだが家族と相談した上で独立を決意した。

 

「やはり、自分の好きなことをやりたいという想いが勝ちました。作るものすべてを自分の意思で決められる。それが何よりも心地よく、やりがいにつながっています。」

 

家族からは今でも心配の声があがることがあるという。しかし小森さんの気持ちは揺るがない。

 

④コラボで広がるOh! The Guiltの世界

 

現在のOh! the Guiltは、すべてオリジナルの洋服を展開している。そして地元のアーティストやカルチャーとの結びつきを非常に大切にしており、名古屋のストリートシーンを象徴する存在とのコラボレーションを通じて、ブランドの世界観をより深めている。

 

特に人気があるのは、名古屋のグラフィティライターDF.SQEZ氏とのコラボアイテムだという。ストリートに溶け込みながらも、その中で異彩を放つスタイルが多くのファンを惹きつけている。

 

また、親交の深いILLMARIACHIとのコラボも手掛けている。刃頭(はず)氏と2004年に急逝した故TOKONA-X(トコナエックス)氏による、特に名古屋のストリートカルチャーにおいて絶大な影響力を持つユニットだ。

 

さらに、アートディレクターのStorm Ryderこと伊藤真弘氏ともコラボレーションしている。MISIAのアートワークなど、大きな仕事を手掛けている人物だ。小森さんは多岐にわたるアーティストと協業し、常に挑戦的な試みを続けている。

 

 

⑤ファンがいる限り続けるという信念

 

実店舗を持つことは考えていないという小森さん。それは自身が店に「ロックされる」ことを嫌うためだという。

 

「これまで十分にやってきたので、お店は一区切りかなと思っています。その時間を、今は別のことに充てたいんです。」

 

友人のブランドのOEMなども手掛けており、多忙な小森さん。自身の時間を大切にしながら、より自由なスタイルで活動することを重視している。

 

経営者は「事業を広げて儲けたい人」と「こだわりを大事にしたいタイプ」に分かれるが、自分は後者であると小森さんは語る。

 

「周囲から『もっと手頃な価格帯で出したらどうか』という助言を受けることもあるんですが、僕はそれはやりたくないんです。自分でやるからこそ、ひとつも妥協したくないと思っています。」

 

想いのこもった強いこだわりは、彼の「職人気質」を物語っている。特に力を入れたデニムのセットアップは、小森さんにとって勝負であり、賭けだった。もしこれが全く売れなかったら、もう辞めようと考えていたほどだという。それだけに、このデニムが好調に売れたことは大きな喜びだった。

 

「自分がすごく良いって思ってるものを、同じように良いって思ってくれるお客様がいてくれるのが本当にうれしいですね。」

 

共感してくれるお客様の存在が、小森さんの大きな原動力となっている。小森さんの座右の銘は2つある。一つはアントニオ猪木氏の「燃える闘魂」。そしてもう一つはBeastie Boysのアドロック氏の言葉だ。

 

「何かのインタビューで、いつまで音楽をやり続けるのかと聞かれたときに『ファンが1人でもいればやるよ』って言っていたんです。それにしびれたんですよね。最高に格好いい言葉だと思っています。」

 

それは、小森さん自身の信念ともつながる言葉だ。

 

「自分も、オーザギルトを好きでいてくれる人がいる限り、やれるだけやりたいなと思っています。やっぱり好きでいてくれる人の気持ちがすごく嬉しいからね。」

 

Oh! the Guiltは、純粋なものづくりの喜びを追求する小森さんの想いが詰まったブランドだ。自由な発想で生み出される洋服は、これからも多くのファンに愛され続けることだろう。ファッションを通じて自分らしさを表現したい人は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがだろうか。

 

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