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家族のつながりを写真にする「Photo Atelier Roots」を訪ねてみた。

家族のつながりを写真にする「Photo Atelier Roots」を訪ねてみた。
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
この間ふと思ったんだけど、僕たちのツーショットって意外と少なくない?
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
そうね。撮ろうとしても、いつもジェシーがフレームアウトしてるからね・・・
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
よーし、今度ちゃんとスタジオで並んで撮ろう!プロに任せれば完璧だろ!
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
その前に、黄色が見えた途端バナナだと思って走り出す癖直そうね・・・
この記事は約6分で読めます。
名古屋市西区にある「Photo Atelier Roots」をご存知だろうか。
その人らしさを引き出した何気ない日常の一コマのような写真を大切にしているフォトスタジオだ。今回はオーナー兼フォトグラファーの小橋 元気(こばし もとき)さんに、写真に対する想いや仕事への姿勢について伺った。
今回のツムギポイント
  • 写真との出会いが人生を変える
  • フォトグラファーとして活動し「独立」という決断へ
  • 家族の「ルーツ」を育む場所に
  • 自然な表情を引き出す工夫
  • 人のつながりを撮り続けたい

①写真との出会いが人生を変える

 

小橋さんがカメラを手に取ったのは、コンピューターの専門学校に通っていた頃だった。

 

「専門学校でデッサンなど絵を描く授業があったんですが、私は絵を描くのが苦手でした。でも自分を表現できるものが欲しくて、写真だったらできるかもしれないと思って始めたのがきっかけです。」

 

もともとはプログラミングを学ぶために専門学校に進んだ小橋さん。数多くの優秀な同級生の活躍を耳にする中で、自分の進むべき道を模索していた。

 

「進路を決めるにあたって、将来プログラミングを仕事としたいのかなと考えた時に、すこし違うかもと思いました。」

 

そんな時に出会ったのが写真だった。現像した際に、色・明るさがそのまま映し出される「ポジフィルム」の美しい発色に魅了されたという。

 

「ポジフィルムは、色が反転して映るネガフィルムと違って、フィルムの状態でもそのままの色が見えて、すごく綺麗だったんですよ。それが写真の魅力に引き込まれたきっかけだと思います。」

 

当時の将来への迷いが、写真との新たな出会いを生んでくれたのだ。

 

②フォトグラファーとして活動し「独立」という決断へ

 

専門学校在学中から写真館でバイトを始め、結婚式や学校写真の撮影を手伝っていたという。卒業後は一度東京で就職した後、地元に戻り3年ほど別業種で働いていた。

 

「正社員として工場で警備の仕事をしていました。主な業務は工場への入出管理や夜間の工場の巡回です。そこでは、社内消防団のような活動もしていて、消防車の運転や社内の救急車で体調が悪い社員の搬送なども行なっていたんですよ。

 

しかし、将来について考え、転職を視野に入れ始めた時、思い浮かんだのはフォトグラファーとしての道だった。そして25歳になった時、「本気で写真をやりたい」と改めて決意し、結婚式の撮影会社に転職した小橋さん結婚式のフォトグラファーとして400組以上の撮影を手がけ、マネージャーとして活躍していた。しかし、フォトグラファーとして経験を重ねる中で新たな目標ができたという。

 

「当時憧れていたフリーランスのフォトグラファーの方がいました。その人が撮る写真や、お客様との関係性に憧れがありました。自分も同じフォトグラファーとして、その人を目指したいなって思ったんです。

 

その後思い切って独立を決意。2012年にフリーランスのフォトグラファーとしてのキャリアをスタートし、2016年には「Photo Atelier Roots」をオープンした。小橋さんがこれまでのキャリアで経験してきたことは、フォトグラファーとしての写真技術だけではなかった。フリーランスになる前の会社勤め時代には、様々な組織運営の経験も積んでいる。

 

「警備員として務めていた会社では、改善提案などを自由にやらせてもらえたんです。どんどんやりなさいって。そこで学べたことも多かったですね。」

 

結婚式の撮影会社でマネージャーとして勤務していた際には、若手フォトグラファーの育成も担当。現在もそれらの経験が活きているという。

 

③家族の「ルーツ」を育む場所に

 

ご家族にとってのルーツとなるような場所に……そんな願いを込めて名付けられた写真スタジオ。小橋さんが大切にしているのは、人の背景が伝わる「つながりのある写真」だ。

 

「結婚式の写真は、定番のポーズがある程度決まっている写真が多いんです。しかし私は、ポーズよりも内面的な、その人らしさを撮ることにこだわりたいと考えていました。そしてこの出会いを結婚式だけで終わらせず、その先の家族写真も撮り続けたいという想いがあったんです。結婚した夫婦が、お子さんと一緒に戻ってくる場所が欲しいと思っていました。」

 

Photo Atelier Rootsのギャラリーには、おしゃれなポーズ写真だけでなく、おじいちゃんおばあちゃんと孫が集まる家族写真や、自宅で誕生日を祝う様子など、家族の歴史を感じられる写真が並んでいる。

 

これまでの経験で学んだ構図やテクニックも自然に写真に込められますが、それがメインではないんです。構図やテクニックよりも、その人らしさが写真に出ているかどうかを重視しています。」

 

スタジオ内は、白壁を基調としたシンプルな空間。ドライフラワーなどのアクセントはあるものの、人が主役になるよう配慮されている。

 

「最初は流行りを意識して、いろいろな装飾を試しました。でも、人を主役にして引き立たせるためには、結局シンプルなスタジオが良いとわかり、現在の白壁に辿り着きました。」

 

シンプルなスタジオで色とりどりな人生を映し出す特別な写真には、小橋さんのこれまでの経験とこだわりが詰め込まれているのだ。

 

④自然な表情を引き出す工夫

 

小橋さんのお客様には、一生涯の付き合いになる方もいるという。結婚式の前撮りから始まり、子どもの誕生、七五三、成人式と、人生の節目ごとに撮影を依頼される。スタジオでの撮影だけでなく、家庭を訪問しての撮影も行っているという。

 

「季節の行事やイベント毎にお子さんの写真を撮っているお客様から、『次はおばあちゃんと撮りたいです』とか、『おじいちゃんが70歳になるので家族写真を撮って欲しいです』とか、そういう依頼もあるんですよ。」

 

家族の日常の姿はもちろん、誕生日会や入学式などの季節の行事の特別な瞬間の写真でも大切にしていることがあるという。

 

「その瞬間にしか出せない表情を撮りたいと思っています。同じ瞬間は、もう二度と訪れないですからね。」

 

その言葉の通り、Photo Atelier Roots」のギャラリーに並ぶ写真は家族の自然な姿を切り取ったものばかり。家族の成長を見守るフォトグラファーとして、小橋さんは自然な瞬間を大切にしているのだ。子どもの撮影では、ストロボではなく自然光を好んで使っているのもこだわりだという。

 

小さいお子さんって、長時間じっとしていることが難しいんですよ。ストロボのチャージ時間の数秒ですら、大切な一瞬を逃してしまうかもしれません。自然光ならISO感度を上げてたくさん撮れるので、一瞬の表情も逃しません。」

 

子どもの自然な姿を捉えるために、照明にもこだわる小橋さん。白壁と自然光を基本にしながらも、トレンドを取り入れた撮影空間を提供している。

 

⑤人のつながりを撮り続けたい

 

現在のPhoto Atelier Rootsは、リピーターのお客様や紹介で来店する方が中心だが、小橋さんは新しいお客様との出会いも増やしていきたいと考えている。

 

「お子さんが成長するにつれて、撮影の頻度は自然と減っていきますから、リピーターさんだけだと、撮影回数も限られてくるんです。」

 

ただ、「お客様との関係を大切にできる範囲」でバランスを意識した経営も心がけている。多店舗展開や事業拡大よりも、写真の質と人とのつながりを重視する姿勢が伝わってくる。

 

写真の価値を感じてくれる人に来てほしいと思っています。値段で選ぶのではなく、写真そのものを気に入ってくださる方と、継続的に一緒にお子さんの成長を見守りながら、お互いに成長でき関係を築いていきたいです。赤ちゃんの写真から、その子の成人式とか、結婚式まで撮り続けられると嬉しいです。」

 

将来の展望について尋ねると、意外な答えが返ってきた。

 

「特に具体的な目標はないんです。今までどおり、お客様に喜んでもらえる写真を撮り続けていきたい。

 

ただ、お子さんの将来については少し考えがあるようだ。

 

「娘が、将来ヘアメイクの仕事をやりたいって言っているんです。まだまだ小さいので本当に先の話ですが、もし大人になってもその想いが続いているなら、一緒に何かやってみたいですね。」

 

ヘアメイクの仕事に興味を持っている娘さん。将来は親子でコラボレーションできる日が来るかもしれない。

 

最後に「小橋さんにとっての写真とは?」と質問してみた。

 

「自己表現の場であり、お客様に喜んでもらえるもの、そして人とのつながりを持てるツールです。」

 

「その時のものはその時しかない」と語る小橋さんの写真には、一瞬の表情だけでなく、その人の背景や人生が写し出されている。単なる記録ではなく、人と人をつなぐ「ルーツ」としての写真。

 

撮影のタイミングを逃してしまうと、もうその瞬間は戻ってこない。だからこそ、小橋さんの撮る写真には特別な価値がある。あなたも、大切な人との思い出を残すため、「Photo Atelier Roots」を訪れてみてはいかがだろうか。きっと目には見えない家族の大切な絆を、小橋さんが形にしてくれるだろう。

 

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