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愛情たっぷりのアメリカンマフィン専門店「Caprice BAKE(カプリスベイク)」を訪ねてみた。

愛情たっぷりのアメリカンマフィン専門店「Caprice BAKE(カプリスベイク)」を訪ねてみた。
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
マフィンのショーケース、まるで宝石箱だったよ!
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
わかる~あれは甘い誘惑の陳列よね!
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
気づいたら全種類買っちゃったんだよね〜だからメイ!一緒に食べよ〜
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
・・・あなたのせいで最近ズボンがきついのよ・・・
この記事は約5分で読めます。
名古屋市北区にある「Caprice BAKE(カプリスベイク)」をご存知だろうか。
アメリカンマフィンを中心に焼き菓子やドリンクを提供する専門店で、マフィンは週替わりで10種類以上が並ぶ。おしゃれな空間と、丁寧に焼き上げられたマフィンの香りが漂う店内で迎えてくれたのは、元ダンサーという異色の経歴をもつ店長の岩田 和也(いわた かずや)さん。独学でマフィン作りを極めたという岩田さんが、なぜ焼き菓子の世界へ飛び込んだのか。その背景にあるお話を伺ってみた。
今回のツムギポイント
  • 日常に溶け込むマフィンを目指して
  • ダンスからマフィンへ。”好き”が原動力
  • 材料とアイディアのかけ算
  • バランスが大事
  • 拡大より“維持”
  • マフィン愛

①日常に溶け込むマフィンを目指して

 

「Caprice」はフランス語で“気ままに”や“思いつき”。そして「BAKE」は英語で“焼く”を組み合わせた店名だ。

 

「僕は気ままに思いたことをやるのが好きなんです。なので、店名にも入れました。実は元々別の業態で始めようとしていたんですが、日本ではまだ馴染みの少ないアメリカンマフィンを、皆さんに日常の中で気軽に味わってもらいたいという想いもあり、今の形になりました。」

 

岩田さんは、自身の性格やこのお店の成り立ちをそのまま名前に込めたのだと話してくれた。

 

気ままに、でも真剣に。そうやって焼き続けられるマフィンたちが、今日も並ぶ。

 

②ダンスからマフィンへ。”好き”が原動力

 

「僕はダンスをずっと続けていたので、本当はダンススタジオを作ろうと思っていたんです。」

 

今のマフィン専門店からはかけ離れていたために正直、驚いた。と同時に、ダンスの世界からマフィンの世界へと踏み入れられた経緯が気になり深くお話を伺ってみた。

 

元々はダンサーとして長年活動していた岩田さん。東京で活動しながらダンススタジオの開設を目指し、地元名古屋に戻ってきた。ダンススタジオ開設に向け動いていたが、物件との折り合いがつかないなど、いろいろな理由から一旦ダンススタジオ開設の夢を諦めることに。

 

「どうしようかなと思っていた時に、昔からカフェ巡りが好きだった事もあり、ふとした時に“カフェをやろうかな”って考えが降ってきました(笑)。ただ、コーヒーを提供するだけなのもなぁと思っていて、考えを巡らせてました。」

 

マフィンに決めたのは、ニューヨーク留学中に通い詰めたスーパーで出会ったチョコチップマフィンが忘れられなかったからだそうだ。

 

「本当に美味しかったんです。それから、製菓学校などには通わずに、完全に独学で試行錯誤して、ようやく“あの味”の再現に辿り着いたんです。」

 

”独学”だからこそ様々な媒体から知識を得て自分の味を完成させることができたのであろう。そんな岩田さんが焼き上げるマフィンには、情熱がぎっしり詰まっている。

 

③材料とアイディアのかけ算

 

「Caprice BAKE」の強みや特徴に関して伺ってみた。

 

「材料には、こだわっています。自分が良いと思う物で作り上げたいんです。」

 

乳製品だけでも牛乳・生クリーム・バター・ヨーグルトを使用し、アーモンドプードルや小麦粉などもリッチなものを選んでいる。

 

それだけでなく、SNSで拝見して種類の多さにも驚いたので伺ってみた。

 

「現在はバターを使った“バターマフィン”と、卵やナッツアレルギーに配慮した“豆腐マフィン”の2種類を展開しています。その他にも週替わりで常時10種類以上を並べています。」

 

豊富な選択肢で来店客を楽しませている。さらに、マフィンアフォガードやクレームブリュレ、ソフトクリームやカフェドリンクなど、イートインでも楽しめるようなメニューも充実している。

 

「やってみたいと思ったことはやるようにしています。お客様は喜んでくれていますが、正直、結構大変です。(笑)。」

 

アイディア先行のメニュー構成。それでも「楽しいからやる」という潔さが、この店の空気を明るくしているのだと感じた。

 

④バランスが大事

 

現在の主なお客様は主婦層が中心だが、男性客も多く、7:3の割合だそうだ。

 

「小学生ぐらいの子がお小遣いを握りしめて買いに来てくれたりもするんです。今でも十分ありがたいのですが、近くに大学があるので大学生の方にももっと来ていただけたら嬉しいですね。」

 

男性や子ども連れのお母さん、小学生まで、安心して過ごせる空間が岩田さんの理想だと教えてくれた。

 

現在のCaprice BAKEは、オシャレだけど落ち着いた空間。女性も男性もふらっと気兼ねなく入りやすい雰囲気。それは、岩田さん自身のバランス感覚によって成り立っているのだ。

 

⑤拡大より“維持”

 

今後の多店舗展開についても伺ってみた。

 

「多店舗展開は今のところは考えてないですね。」

 

2号店出店に関しては、馴染みのお客様から「出さないの?」と聴かれることがあると言う。

 

「たとえば、2号店を作って拡大したとしても、自分の目が行き届かないような気がします。それに、元々独学で学んだ事もあって僕の作り方って本当に独特なんです。」

 

だからこそ、店舗を増やす事によって現在の味のクオリティーが保たれなくなる事を危惧しているのだと岩田さん。

 

「僕は、本当にお菓子作りは面白いなぁと感じるのですが、同じ材料・同じ混ぜ方だったとしても味って変わってしまうんです。僕の感覚じゃないと、あの味は作れないんですよ。」

 

店舗を増やすより、今の状態をキープすることが一番の目標だと話してくれた。最近はInstagramや口コミの影響で急激に来客数が増え、うれしい反面、回しきれない悩みもある。

 

「僕にとっては、完売で終了が理想ですね。そこにどう持っていけるかが今の課題ですね。」

 

⑥マフィン愛

 

座右の銘についても伺ってみた。すると、

 

「座右の銘とかじゃないですし、”キモチ悪い”って思われるかもしれませんけど(笑)。」

 

そう照れくさそうに笑って岩田さんは教えてくれた。

 

「焼き上がったマフィンを見ると声をかけて、思わず褒めてしまうんです(笑)。今日すごくいいじゃん!とっても美味しそう!みたいに。」

 

この話を聞いた時に、とても素晴らしい事だと素直に思った。

 

努力と研究を重ねて独学でここまで来たからこそ、一つひとつの焼き上がりに自然と愛着が湧く。まさに我が子のような感覚なのだろう。

 

時にはオーブンの癖に翻弄されつつ、完成したマフィンに「今日のは上出来!」と声をかける。人の口に入る物なのだから、作り手がここまでの愛着を持って作ってくれた方が、もちろん消費者は安心する。

 

「自分で作ってきたからこそ、“よく頑張ったな”って褒めたくなるんですよね。それを買ってくれたお客様が美味しそうに食べる姿を見ると本当に嬉しい気持ちになります。」

 

“マフィンを褒める”それは、ものづくりに対する自信と、マフィンへの深い愛情の表れだった。

 

Caprice=気ままに」。その名の通り、好きという思いつきから始まったマフィン専門店。元ダンサーの岩田さんが、人生の舵を切って辿り着いた場所だった。

 

素材へのこだわり、豊富なラインナップ、そして何より店主自身が楽しんでいる空気が、訪れる人にも伝わってくる。マフィンにそっと声をかける店主がいるお店。そこには、熱い確かな想いがあった。

 

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