スポーツ系古着、個性を楽しむ古着屋「IN DA HOOD」を訪ねてみた。





工場を改装した店内には、選び抜かれた古着の数々。特にサッカーユニフォームやスポーツ系の古着に強いこだわりを持っているのが特徴だ。今回は、オーナーの葛西 建人(かさい けんと)さんに、この店を立ち上げた経緯や想い、今後の展望について話を伺ってみた。
- 地元一宮からの発信
- 好きからの独立
- 「IN DA HOOD」ならではのこだわり
- 家族で楽しめる空間へ
- 可能性は無限大
①地元一宮からの発信
店名である「IN DA HOOD」に込められた意味や想いを葛西さんに伺った。
「『HOOD』は『neighborhood(近所・地元)』の略で、アメリカでは親しいコミュニティや地元を指す言葉です。僕の地元がまさに一宮なので素直に地元で、という意味ですね。」
地域とのつながりを大切にしながら、選りすぐりのアイテムをお届けする。そんな想いが、この店名には込められている。
②好きからの独立
一見、古着ショップがあるとはわからないような工場の中に「IN DA HOOD」はある。この場所にオープンした理由や、起業への経緯を伺った。葛西さんには海外に住んでいた過去もある。当時のことを振り返りながら話してくれた。
「高校卒業後は大学に進学したのですが、もっと広い世界でいろいろなことを学びたくて、大学は辞めて海外に渡りました。海外の文化にも興味がありましたし、いろいろな国で友達を作りたかったんです。2年ほど海外で過ごした経験はかけがえのない思い出です。」
帰国後は製造業に勤めていた葛西さん、起業のきっかけはライフスタイルの変化だったという。
「結婚・出産を機に今後の生活について奥さんと話し合いました。奥さんは看護師の仕事をとても大切にしていました。たくさん話し合った結果、奥さんは看護師を続けて、僕が自由に動けるようにしようと決心しました。」
ご夫婦の働き方に関する考え方は、まさに今の時代に合っている柔軟な対応だった。
「そこで、何をやろうと考えた時に、真っ先に古着が思い浮かびました。この場所は奥さんの実家が所有・経営していた工場なんです。使われなくなってから空き状態が続いていたので、何かに活用したいと思っていました。僕自身元々古着が好きだったし、この場所にもぴったりだと思いました。」
まさに古着のイメージにはぴったりのオシャレなインダストリアル感だ。最初はネット販売からのスタートだったが、この空間をもっと活かすために実店舗へと移行された。こうして「IN DA HOOD」は動き出したのだ。

③「IN DA HOOD」ならではのこだわり
「IN DA HOOD」の最大の特徴は、いわゆるアメカジ古着アイテムだけでなく、スポーツテイストが強いという点にある。
「個人的には“古着屋さん”とはあまり言わないようにしています。“古着屋”というと、どうしてもアメカジ感を強く感じると思うのですが、うちはそこまでアメカジアイテムが多いわけではないので。」
なんと店内の半分ほどはスポーツアイテム、特にサッカー関連のコーナーとなっているのだ。
「僕が元々スポーツをやっていたことや、小学生の頃から海外のスポーツを見たり映画・音楽を聴いていたことが今のスタイルに繋がっていますね。」
口コミでも「サッカーの古着に関しては愛知県で一番だと思う!」と評価されるほど、品数の多いお店となっているのだ。
「やはりスポーツ系、特にサッカーユニフォームは強みとして考えています。ここ最近は、サッカーのユニフォームがヨーロッパを中心にファッションのトレンドになっていることも追い風になっていると感じています。」
当初は、アニメや映画のTシャツが並ぶ場所と同じ空間でスポーツアイテムを展開していたが、しだいにアイテム数も増え、今ではスポーツアイテムとして独立したコーナーとなっている。
「サッカー好きの方が来られて、スポーツアイテム以外も見ていかれる、古着のTシャツを目当てで来られた方がユニフォームに興味を持ってくれる。そんな相互関係がうちの強みですね。」
スポーツ好きのお客様も古着好きのお客様も集まるこの空間では、お目当て以外のアイテムとの新しい出会いも生まれるようだ。


④家族で楽しめる空間へ
少し奥まった場所、そして外観は完全な工場。「IN DA HOOD」に通うお客様はコアな古着好きが多いのかと思いきや、意外とそれだけではないのだと語る。
「メインは男性のお客様です。ただ最近ではカップルやご夫婦でお越しいただいて、最初は彼氏さんの付き添いだったけど、帰る頃には彼女さんも買っていかれてって事もありますね。ご家族で来られて、気づいたら家族全員分選んでいらっしゃるお客様も多いです。」
その言葉を表すかのように、古着では珍しいキッズサイズも店内にはあるのだ。また、お子様連れでお越しいただいても楽しんでいただけるようお子様が遊べる遊具も設置されている。
「最近だと近所の中高生が、部活終わりに自転車で立ち寄ってくれる事もあります。お年玉とかで貯めた大切なお小遣いで買ってくれるので嬉しいですよね。」
一見デメリットに捉えがちな奥まった立地も、裏を返せば地域住民には親しまれるというお手本のようなスタイルだ。
⑤可能性は無限大
現在、「IN DA HOOD」の店舗スペースは工場の三分の一程度。まだまだ広い空間を残しているのだが、今後何かお考えはあるのか葛西さんに伺った。
「具体的にはまだ何も決まっていませんが、いつかはここでイベントができたら良いなぁと思っています。古着で広げてしまうと自分の色が薄まってしまう気がするので、古着は今のスペースまで。ここをドンドンいじって面白くしていくっていうのが目標ですね。可能性はもう無限大な気がするので。」
そう話す葛西さんは本当に毎日を楽しんでいらっしゃるようだった。
最後に、葛西さんが大切にしている言葉について聞いてみると、少し考えた後にこう続けた。
「座右の銘ですか… “All or Nothing”って言葉が好きです。“何かを取るか、何もないか”という意味なんですが、何かに挑戦すれば何かしら可能性はあるし、しなければ何もないっていうことを、いつも考えています。やるかやらないかで言ったらやる方を選びたいなというのは常にあります。」
常に選択の場面に立たされた時には、やらない理由よりやる理由を探すのだそう。葛西さんの今までの生き方・そして、この空間をさらなる楽しい場所にしようと日々チャレンジされる葛西さんならではの言葉だった。
古着への愛情、ファッションへのこだわり、そして地元への想い。そのすべてが詰まった「IN DA HOOD」は、これからも一宮から新しいスタイルを発信し続けるに違いない。

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