卸売・小売業
稲沢市

古きよき時代に魅せられるヴィンテージショップ「SK OLDIES」を訪ねてみた。

古きよき時代に魅せられるヴィンテージショップ「SK OLDIES」を訪ねてみた。
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
今日からヴィンテージゴリラとして生きていくことにしたよ!
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
・・・なんか聞いたことない言葉だけど・・・
JESSE <small>ジェシー</small>
JESSE ジェシー
まずバナナも新品じゃなくて、ちょっと熟れすぎた黒いのを選ぶところから始めてみた!
MEI <small>メイ</small>
MEI メイ
それただの値引きバナナじゃないの・・・?
この記事は約7分で読めます。
稲沢市にある「SK OLDIES」をご存知だろうか。
アメリカンヴィンテージに特化したセレクトショップで、アンティーク雑貨や独自のオリジナルアイテムを提供している。オーナーのシュウさんに、お店が生まれた経緯や大切にしている想いについて伺った。
今回のツムギポイント
  • コロナ禍をきっかけに気付いた“本当にやりたいこと”
  • アメリカンヴィンテージに特化した品揃え
  • 男心をくすぐる”ひと癖ある"セレクション
  • 物を大切にする文化を次世代に継承
  • ハンドルミシンで手作業の温もりを伝える
  • 「稲沢を盛り上げたい」地域への愛

①コロナ禍をきっかけに気付いた“本当にやりたいこと”

 

稲沢市にある「SK OLDIES」は、インディアン、スカル、ピンナップガールなど、さまざまなテイストのアイテムが揃うアメリカンヴィンテージ&アンティークショップ。昔のアメリカンカルチャーやヴィンテージアイテムが好きな人にとって、見ているだけでも楽しめるショップと言えるだろう。オーナーであるシュウさんに店名の由来を尋ねてみた。

 

「自分のイニシャルと、50年代に流行した音楽や時代を意味する『OLDIES』を組み合わせたものです。ショップ名を考えている時にオールディーズを聴いていたので、そこから取りました。」

 

単純な由来なんです、と謙遜するシュウさんだが、シンプルな店名が、かえって「どんなお店なんだろう」「どんな商品があるのだろう」と想像をかき立てる。

 

シュウさんは元々、アパレル販売を手がける会社を経営していた。海外から衣料品を輸入し、大手ECサイトで販売するビジネスを10年以上続けてきた。しかし、流行を追い、売れるものを扱うという商売に徐々に違和感を覚えるようになっていた。

 

「自分の会社なのに、本当に好きなことができていないというジレンマがありました。ただ、いきなりやめるわけにもいかなくて、ずっとモヤモヤしていたんです。」

 

そんな時、世界を一変させたコロナ禍が訪れる。海外からの商品輸入が滞り、これまで通りの商売が立ち行かなくなる中、シュウさんは立ち止まり、改めて考える時間を得た。

 

「コロナ禍で海外からの商品が入らなくなり、『もう売るものがない』という状況になったんです。そこで『自分が本当にやりたいこと』を考える時間ができました。そこで改めて感じたのが、『自分は古いものが好きだ』ということです。音楽にしても、物にしても、カルチャーにしても、新しいものよりも古いものに魅力を感じていました。」

 

そしてシュウさんは、思い切ってアメリカからアンティーク、アメリカンヴィンテージの品を少しずつ仕入れ始めた。

 

「やっぱりアンティークが好きだから、面白いんですよね。自分も楽しいし、お客様にもすごく喜ばれる。これだ!って思いました。」

 

初めネットオークションでの販売のみを行っていたが、その後開設したInstagramを通して、お客様との交流も増えていった。お客様のリアクションを直接見られることに喜びを感じるようになったという。

 

②アメリカンヴィンテージに特化した品揃え

 

20221010日、シュウさんは念願の実店舗「SK OLDIES」をオープンさせた。それまで事務所や荷物置き場だった場所を改装し、自分の好きなものに囲まれる空間を作り上げた。

 

「都心から離れた場所で、店内も広くないので、最初から予約制での営業を考えていました。それは今も続いていて、基本的に予約に合わせてお店を開いています。」

 

店内には、アメリカのバーで使われていたようなライトサインやパブミラー、個性的なフィギュアなど、男心をくすぐるアイテムが所狭しと並ぶ。特に力を入れているのは、50年代~60年代の日本製陶器だ。戦後に日本で生産され、アメリカン風に仕上げられた骸骨やデビルなどの陶器は、コレクター心をくすぐる逸品だ。店内に並べられたこれらはほぼすべて販売品だという。

 

「レジ付近には私物もありますが、基本的に全部売り物です、一点ものを中心に販売しています。」

 

新商品が入荷するとインスタライブで紹介し、そこで即購入される熱心なお客様も多いという。予約制での営業による「隠れ家」的な雰囲気とこだわり抜かれた商品が、コアなファンを惹きつける魅力となっているのだろう。

 

③男心をくすぐる"ひと癖ある"セレクション

 

SK OLDIESの特徴は、アメリカンヴィンテージに特化しつつも、可愛らしいキャラクターものだけではなく、良い意味で「男臭い」ものを中心に集めている点だ。実際、来店されるお客様の約8割は男性で、夫婦やカップルで訪れる方も多いという。

 

「世の中に出回っている一般的なものには刺激を感じない人、こだわりを持って生活をしている人を満たせられるようなラインナップを目指しています。」

 

もう一つの強みは、オリジナルアイテムの展開だ。

 

「アンティークショップって、古いものしか売らないところが多いと思いますがうちは、うちならではのオリジナルアイテムも出しています。」

 

オリジナルアイテムでは、シュウさん自身が絵を描いたり、タトゥーアーティストやイラストレーターとコラボレーションしたりして、独自のアイテムを開発。アパレルだけでなく、ブランケット、傘、お香立て、箸置きなど、様々な商品を展開している。

 

「ヴィンテージを取り入れたライフスタイルをお客様と一緒に作っていきたいんです。家の中も全体をOLDIESにしてしまいましょうよって。毎日過ごす部屋の中が好きなもので溢れていたら、テンション上がりますよね。

 

本当に好きなものに囲まれて過ごすシュウさん自身に惹かれて、来店されるお客様も多いことだろう。

 

④物を大切にする文化を次世代に継承

 

シュウさんのビジョンは単に商品を売るだけにとどまらない。子どもたちに向けた取り組みも積極的に行っている。

 

「幼稚園でチラシを配ってもらって、子供のおもちゃの交換会を何回かやったんです。アンティークに興味を持っていないご家族に来ていただいて、まずはお店の存在を知ってもらうこと、子供たちにアンティークやヴィンテージに触れてもらうことに繋がればいいな、と思っています。」

 

おもちゃ交換会は、使わなくなったおもちゃを持ち寄り、他の人が持ってきたおもちゃで、欲しいものがあれば持ち帰るというシンプルなルール。しかし、この活動には深い意味があるという。

 

「アンティークやヴィンテージは、誰かが大切にしてきたからこそ今まで残っているんです。子供たちに、物を大切にする文化を伝えていきたいと考えています。」

 

SDGsを特に意識しているわけではないとシュウさんは言うが、結果的にはサステナブルな活動につながっている。

 

また、より広い層の人々にお店を知ってもらうために、年に2回春と秋に「SKマーケット」というマルシェも開催している。こうしたイベントの時は、通常よりも間口を広げ、女性やファミリー層にも来店してもらえるよう工夫をこらしている。

 

「子供たちに『こんな場所が稲沢にあったんだ』と気付くきっかけにしたいんです。大人になった時に、『そういえばお父さんに連れて行かれたあの店、なんかかっこよかったな』と、少しでも多くの人の記憶に残したいなって思います。」

 

SK OLDIESとの出会いをきっかけに、子供たちにとって「アンティークショップのオーナー」が将来の夢の一つになれば、とシュウさんは笑う。

 

⑤ハンドルミシンで手作業の温もりを伝える

 

SK OLDIESが近年力を入れているのが、ハンドルミシンを使ったチェーンステッチ刺繍だ。手回しのハンドルを回して施す刺繍には、手作業ならではの味わい深さがある。

 

「ハンドルミシンを使ったチェーンステッチの刺繍は、ヴィンテージの服によく使われている手法なんです。一つずつ、自分で手作業でやっています。」

 

背中一面の刺繍で約3時間。休憩を含めると半日ほどかかる、まさに手間暇のかかる技術だ。しかし、その分の価値があるとシュウさんは考えている。2024年から本格的に販売を始めたチェーンステッチ刺繍のアイテムは、シュウさんがデザインから縫製まで一貫して手がける。今後はオーダーも受けていく予定だという。

 

「自分の好きな服に自分の好きなデザインを施すというのを、今後はやっていきたいですね。」

 

手間も時間もかかる手作業での刺繍は、価値のある技術として適正な価格をつけて、販売をしていきたいと考えている。一つひとつ手作業で仕上げるからこそ生まれる味わい。唯一無二の作品を求めるお客様にとって、SK OLDIESのオリジナルアイテムは大きな魅力となっている。

 

⑥「稲沢を盛り上げたい」地域への愛

 

シュウさんが大切にしているのは、大きな売上を目指すよりも「継続すること」と「お客様に喜んでもらうこと」だ。そして、拠点となる稲沢への強い想いがある。

 

「お店を大きくしたいなって夢もありますが、今のスタイルが気に入っているので、お客様との近い距離を保てる規模がいいんです。あと、やっぱり稲沢という地にこだわりたいですね。」

 

稲沢を大切に思うシュウさんにとって、地域貢献は大きなテーマだ。

 

「やっぱり住んでる街を大切にして、盛り上げていきたいです。日本全国を盛り上げようとか、世界を変えてやろうというのは遠く感じてしまうけど、住んでる街ぐらいはちょっとなんか変えれるんじゃないかなっていう思いがあります。」

 

今後の課題として挙げるのが、まずは地域の人々にお店の存在を知ってもらうことだという。

 

「稲沢に何か古いものをいっぱい売ってる変な店があるよね、くらいの認識で十分なので、まずは知ってもらうことが課題ですね。」

 

理想は口コミで広がり、お客様がお客様を連れてきてくれるような場所。シュウさんは今後も地道に、しかし着実に自分のビジョンを形にしていくだろう。

 

「お店の存在自体は、多くの人に知ってもらって、アンティークやヴィンテージが本当に好きな人が足しげく通ってくれればいい。ここに来るとワクワクする、そんな場所でありたいです。お客様にとってかけがえのないお店でありたいんです。

 

最新のトレンドを追いかけるのではなく、古きよきものの価値を伝えながら、新しい魅力を創造する。SK OLDIESは、小さくても強い個性を放つショップとして、稲沢の新たな名所になりつつある。好きなものに囲まれたライフスタイルに憧れる人は、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。隠れ家のような空間で、きっと新たな「好き」と出会えるはずだ。

 

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