歴史ある城下町で沖縄気分が味わえる「沖縄そBAR 19(IKKYU)」を訪ねてみた。





歴史のある城下町・犬山で沖縄そばやこだわりのお酒が楽しめるお店だ。今回は、飲食店経営から地域の問題解決など多岐に渡り活動している代表取締役社長の小林 高一(こばやし こういち)さんにお話をうかがった。
- 歴史ある城下町で、沖縄気分を満喫
- 産地直送による本場の味を提供
- 犬山と沖縄の名産コラボレーション
- 地域の社会問題に取り組み、頼られる存在へ
①歴史ある城下町で、沖縄気分を満喫
2024年4月にオープンした「沖縄そBAR 19(IKKYU)」。
その店名の通り、沖縄そばをメインに、沖縄の伝統的な料理や風味豊かな食材を取り入れつつ、地域の特産品を組み合わせた、さまざまなメニューが楽しめる。
また、定番の泡盛から希少酒まで、沖縄ならではの銘柄を豊富に取り揃えており、「お酒も楽しめる沖縄そばのお店」というコンセプトで運営しているのだそう。
「19(IKKYU)には、訪れる人々がリラックスできるような空間を提供し、ひと休みできる場所としてご利用していただきたい、という想いが込められています。」
一度食べると忘れられない味わいを楽しむことができるほか、沖縄の温かみのある雰囲気と尾張の歴史的な背景が調和し、特別なひとときを満喫できる空間となっている。
犬山で生まれ、犬山で育った小林社長だが、「沖縄」をコンセプトにしたお店の開業には、社会人になって間もない頃に訪れた三河の沖縄料理店での出会いや、現地の人々との交流が背景にあるのだという。
「日常生活の中で触れる機会がなかったので、沖縄の文化や料理には詳しくありませんでしたが、ある日たまたま立ち寄ったところが沖縄出身のご夫婦が経営しているお店でした。料理はもちろん美味しかったのですが、それ以上に2人のお人柄に惹かれ、精神的な部分で救われた気がします。社会人になったばかりで、悩みも多かった時期に本当によくしていただいて、常連さんたちとも仲良くなり、そのお店をきっかけに交流も増えました。」
社会人としてのキャリアをITエンジニアからスタートした小林社長は、個人事業主を経て、仲間とともにIT会社を設立し、つい最近まで20年にわたり経営してきた。
昨年、地元である犬山に戻ってきたタイミングで、DX(デジタルトランスフォーメーション)を中心としたIT事業を展開する会社を設立。
その後「沖縄そBAR 19(IKKYU)」をオープンした。オープンのきっかけは古くからの友人の影響が大きかったのだと話してくれた。
「実は私の知人のご主人なんですが、出会いは以前経営していた会社の社員旅行で沖縄に行ったのですが、その時に現地でお世話になった方なんです。毎年社員旅行で大人数で行っていたのですが、本当によくしていただいて、そこからもう10年以上の付き合いになります。」
「交流を続ける中で、彼が“沖縄のものを全国や世界に発信したい”という志を持っていることを知りました。そんな時、彼がとあるバラエティー番組に出演したことがきっかけで知名度が上がり、以前から話していた計画も少しずつ進めていこうとしていた矢先、コロナが流行してしまいました。」
沖縄の観光業が大打撃を受け、現地での商売を断念せざるを得ない状況の中、「沖縄の良いものを発信したい」という友人の想いを受け、キッチンカーを利用して沖縄の味や文化を広める活動をはじめた小林社長。自身の会社を経営しつつ、多忙な中で週末を利用しキッチンカーでの移動販売を続けた。
後に、沖縄そば屋「タイラ製麺所」の立ち上げ・運営にも関わっていたそうだ。こうした出会いやご縁が、現在に繋がっているのだと話してくれた。

②産地直送による本格的な味を提供
以前はクレープ屋さんだった場所を改装したという店内は、落ち着きのある木目調の家具類で統一され、カウンターには沖縄ならではの名酒がズラリと並ぶ。シックな中にも、沖縄らしさが溢れる空間となっている。
開業当時の心境と、開業から半年経った現在の状況を教えていただいた。
「この辺りは沖縄の文化や料理を楽しめる場所がなかったので、犬山の人たちに沖縄を体感していただきたいと考えました。最初は受け入れてもらえるか不安もありましたが、大変ありがたいことに、想像以上に好評をいただいている印象です。」
「沖縄そBAR 19(IKKYU)」で使用されている麺は、国際通りと岡崎に店舗を持つ「タイラ製麺所」の自家製麺だ。つるつるもちもちとした食感が自慢の麺を、沖縄から仕入れているという。
また、沖縄県出身の女性歌手·ラッパーのAwitch(エーウィッチ)氏がプロデュースしたハブ酒『HABUSH(ハブッシュ)』も、非常に飲みやすいと人気の銘柄のひとつだと話してくれた。
「13種類のハーブがブレンドされていて、よくあるハブ酒特有の香りやクセが少なく、ピリッと爽快感のある味わいが特徴です。」
沖縄そばとアルコール以外にも、軽く食べられるおつまみやおやつ、カフェドリンクまでメニュー数は豊富だ。お店で提供する食材のほとんどが産地直送で、本場の味を身近な場所で堪能できるのも大きな魅力である。


③犬山と沖縄の名産コラボレーション
小林社長は、ただ単に犬山の地で沖縄料理を扱うお店を経営しているだけではない。犬山と沖縄、それぞれの名産品を組み合わせたメニューの提供や商品開発にも力を入れている。
そのひとつが、尾張最古の銘酒として知られる「忍冬酒(にんどうしゅ)」と、シークヮーサーリキュールを合わせた『イエヤス様忍クヮーサー』だ。
忍冬酒は、慶長2年(1597年)に創業された小島醸造によって始まり、徳川家への献上品として贈られ、徳川家康も好んで飲んだと伝えられている。スイカズラと米を発酵して造られるリキュール酒で、ウィスキーに甘みを加えたような味わいだという。
「古くから薬膳酒としても知られているので、このまま飲んでいただいても美味しいですし、他のお酒と合わせると、より味に深みが出るのでオススメです。」
沖縄の魅力を全国に広めたいという友人の想いと、犬山の人たちに沖縄文化を体感してもらいたいという自身の想いから生まれたコラボレーションだ。
これからも犬山を盛り上げられるよう、さまざまなコラボ商品やサービスを作っていきたいと意気込みを語ってくれた。
④地域の社会問題に取り組み、頼られる存在へ
犬山市は県内有数の桃の産地だが、高齢化や後継者不足が深刻な問題となっている。
そこで、桃農家の栽培作業をサポートする「モモ栽培サポーター養成制度」を導入し、市をあげた体制づくりと一般市民のサポートによる産地支援を行なっているのだとか。
具体的な取り組みとしては、高所での剪定(せんてい)作業、余分なつぼみや実を減らす摘蕾(てきらい)・摘果(てきか)、害虫などから実を守る袋掛け、収穫した桃の運搬などサポートの内容は多岐にわたる。
小林社長もサポーターのひとりで、養成講座を通して桃栽培の知識と技術を学びながら、別の角度から地域社会への課題に取り組んでいる。
「摘果の段階で間引きされたものは廃棄されてしまうので、何とか活用できないかと思い、自家製の桃リキュールを開発中なんです。沖縄のさんぴん茶と非常に相性がよく、犬山の桃を使った『桃さんぴん』を提供できたらと思っています。」
地域社会へ貢献したいという気持ちが強く、取材中も小林社長の素晴らしいお人柄がよく伝わってきた。将来的には、犬山市で最も頼られる会社を目指し、地元の社会課題にも積極的に取り組んでいきたいと話してくれた。
「お店の認知度をもっと上げていきたいと考えています。地域の特性を分析したり、地域の方達に知ってもらえる方法を模索中なんです。やりたいことはたくさんありますが、まずは経営者としての役割を果たしていく事が大切だと考えています。」
最後に小林社長の「座右の銘」をたずねてみると、『粋に生きる』と答えてくれた。
「粋」とは「洗練された美しさや身のこなし」や「気の利いたさりげない気遣い」などを意味する。そんな想いを持つ小林社長が、これからどのような「粋な計らい」を見せてくれるのか、今後も目が離せない。
歴史のある城下町・犬山で、気軽に沖縄気分を味わうことができる「沖縄そBAR 19(IKKYU)」。本格的な自家製麺と、定番から希少な銘柄まで揃う沖縄ならではのお酒を味わいに、一度訪れてみてはいかがだろうか。

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